お年寄りが脱水症状になりやすい理由

お年寄りが夏、熱中症や脱水症状のために命を落としやすいのは、加齢に伴って喉が乾くという感覚が鈍ってくるからであるといわれていますが、実はそれだけではないようです。
アメリカの科学者が2003年に、人間の体内の細胞にアクアポリンと呼ばれる新しい物質を発見したそうです。
実はこのアクアポリン、人間の体内でとても重要な働きをしています。

アクアポリンは内部に小さな穴が開いた筒型の形をしたタンパク質です。
この物質の中に開いている 穴は、1秒間に数十億個という非常に多数の水分子が通り抜けることが可能となっています。
私たちの肌に正常に水分が補給されたり、食事の時にちゃんと唾液が口の中に出たりするのも、アクアポリンの働きによるものです。
また、この物質が正常に働いているときは、飲む水の量が少なくとも脱水症状にならずにすむといわれています。

アクアポリンという物質は、人間の腎臓に特に集中して集まっています。
この物質は腎臓の中で、私たちを脱水症状から守る重要な働きをしています。
血液中の水分が不足したときに、脱水の状態を検知した脳は、抗利尿ホルモンを分泌してそのことを腎臓に知らせます。
これを受けて、腎臓の細胞内にあるアクアポリンが、通常は作られた尿が流れる管の表面に移動して、尿の中からきれいな水だけを取り出し、水分が減少した血管にそそぎ込むという働きをします。
こうすることでアクアポリンは私たちを脱水症状から守っているのです。

しかし、この物質は、生きている限り正常に働くというわけではありません。
加齢とともに、人間の腎臓は抗利尿ホルモンが発する命令の反応に鈍くなってしまう上に、腎臓の細胞の中のアクアポリンの数も減ってしまうからです。
こうなりますと、尿から水分を回収して再び血管に戻す、ということで脱水症状を緩和できなくなってくるのです。
こういった点からも、お年寄りは特に脱水症状や、熱中賞にかかってしまうにリスクが高まっているといえます。
お年寄りは脱水症状や熱中症を予防するために、1日に飲む理想的な水の量をあらかじめ決めておき、それをしっかり守ることで、脱水症状や熱中症に注意する必要があります。